蒸留の技術は古代メソポタミアやエジプトの香料づくりに起源を持つとされ、中世にアラビアの錬金術師たちが発展させました。その技術が十字軍や修道士を通じてヨーロッパに伝わり、修道院で薬酒づくりに応用されたと考えられています。ブリテン諸島への伝来については、アイルランドの修道士が持ち込んだとする説が有力ですが、正確な時期や経路を示す決定的な記録はなく、諸説あります。アイルランドとスコットランドのどちらが「ウイスキー発祥の地」かという論争は、今も両国のファンの間で続く永遠のテーマです。確かなのは、修道院の薬から始まった蒸留酒が、やがて農民の暮らしに根づき、国を代表する酒へ育ったことです。