映画の主人公が傾ける、氷の入った琥珀色のグラス。憧れはあるけれど、「あんな強い酒をそのまま飲めない」と思っていませんか。今回はその誤解を解きます。ロックとは我慢して飲む強い酒ではなく、氷がゆっくり仕上げていく、時間つきの一杯です。
01 作り方 — 材料は前回と同じ、手順はもっと簡単
用意するのは、ウイスキー(前回の小瓶の残りでOK)と、袋氷の中から一番大きな塊。グラスは口の広いコップで構いません。手順:①グラスに氷を入れる ②30秒だけ待つ(氷の表面がわずかに艶を帯びるまで——前回学んだ、割れと霜を防ぐ待ち時間です) ③ウイスキーを指1本分(30ml)注ぐ ④軽く2〜3回まわす。以上。チェイサー(ただの水)をコップに一杯、必ず横に置いてください。ロックの相棒は水です。一口ごとに水を挟むと、口がリセットされて次の一口がまた新鮮になります。
02 飲み方 — 3つの時刻で味わう
今夜の本題はここです。この一杯を、10〜15分かけて3回に分けて味わってください。【最初の一口(0分)】ほぼ原液。アルコールの熱、香りの塊。強いけれど、これが「素顔」です。【中盤(5分)】氷が少し溶けて、角が取れ始める。甘みが顔を出し、香りがほどけてくる。多くの人がここを一番美味しいと感じます。【終盤(10分過ぎ)】さらにまろやかに、薄く、優しく。素顔→開花→余韻。同じグラスの中で、一杯の酒が三つの表情を見せる——これがロックという飲み方の正体です。
03 強すぎたら、恥じずに足す
最後に大事なことを。もしロックが強すぎたら、水を足してください(ハーフロックという立派な飲み方です)。バーでもそうやって飲む人は大勢いますし、恥ずかしいことでは全くありません。このコースの目的は「通っぽく飲むこと」ではなく、あなたが美味しく飲める形を見つけることです。さて、ここまででハイボールとロック、二つの飲み方を体験しました。次回は第1章の卒業試験——同じウイスキーを3つの飲み方で並べて、あなたの「好き」を確定させます。