コースもあと3回。ここで一度、真面目な話をさせてください。ウイスキーを一生の趣味にするために、銘柄の知識より大切な技術があります——体を壊さず、翌朝を潰さず、長く楽しむ技術です。かっこよく言えば、飲み手としての持続可能性。要点は4つだけです。

01 ① 「杯数」ではなく「純アルコール量」で数える

ビール1杯とウイスキー1杯は、同じ「1杯」ではありません。共通のものさしが純アルコール量です。計算は簡単:量(ml)×度数×0.8÷100。シングル1杯(30ml・43度)で約10g——これはビール中瓶の半分くらいに相当します。厚生労働省の指針では、生活習慣病のリスクを高めない目安は1日平均純アルコール約20g程度(男性の場合。女性はより少なく)とされています。つまりウイスキーならシングル2杯前後。「今夜は何グラム飲んだか」で数える習慣は、この趣味を50年続けるための、最も地味で最も効く投資です。

02 ② チェイサーは飾りではなく装備

第3回から登場し続けているチェイサー(和らぎ水)の正体を、ここで正式に。水はウイスキーと同量以上を並走させてください。仕事は三つ:味覚のリセット(次の一口が新鮮になる)、脱水の防止(アルコールには利尿作用があり、悪酔い・翌朝の不調の一因は脱水です)、そしてペースの自動調整。バーで水を頼むのは無作法どころか、最も玄人らしい注文です——覚えていますか、この話。最終回のバーで、堂々と頼んでください。

03 ③ 空腹で飲まない ④ 飲まない日を持つ

残り二つは短く。③空腹での一杯はアルコールの吸収が速く、同じ量でも効き方が変わります。ナッツでもチーズでも、何か胃に入れてから。④週に数日は飲まない日を——肝臓の回復日であると同時に、実は味覚のリセット日でもあります。休み明けの一杯が妙に美味いのは、気のせいではありません。「毎晩飲む人」より「週3回、丁寧に飲む人」の方が、一杯あたりの幸福量は多い——このコースの思想とも一致する、飲まない日の効用です。