世界がジャパニーズウイスキーを絶賛した2010年代、業界には後ろめたい秘密がありました。日本の法律にはジャパニーズウイスキーの定義がなく、海外から輸入した原酒を瓶詰めしただけの製品でも「日本のウイスキー」として販売できたのです。世界的な高評価に便乗した紛らわしい商品が海外市場に出回り、このままでは百年かけて築いた信頼が毀損される——危機感を持った日本洋酒酒造組合は2021年、「ジャパニーズウイスキー」の表示基準を制定します。国内採水の水を使い、国内で糖化・発酵・蒸溜し、国内で3年以上樽熟成する——満たさない製品はこの名を表示できない。法的拘束力のない自主基準という限界はあるものの、大手からクラフトまでが足並みを揃えた意義は大きく、「ワールドブレンデッド」という正直な受け皿カテゴリーも定着しました。次の宿題は国の地理的表示(GI)への昇格。名前を守る戦いは、まだ途中です。
2021年、「ジャパニーズウイスキー」が定義された日
海外原酒の混和品も「日本のウイスキー」を名乗れた時代が終わり、業界自主基準が誕生。信頼の再構築が始まりました。