1923年、京都郊外の竹林で山崎蒸溜所が着工されてから、日本のウイスキーは100年の節目を越えました。この百年は、そのまま一つの物語です。スコットランドへの憧れと模倣(竹鶴ノート)、二つの理想への分岐(鳥井と竹鶴)、庶民の酒への定着(トリスバー、ダルマ)、長い冬(消費低迷と蒸溜所の沈黙)、そして復活と世界制覇(ハイボール、国際品評会、マッサン)——弟子が師と並び立つまでの、教科書のような百年でした。しかし歴史コラムの結びとして強調したいのは、次の百年が既に始まっているという事実です。列島各地のクラフト蒸溜所では、私たちがまだ味を知らない原酒が眠り始めています。2050年の名品も、2123年の「200年記念ボトル」の原酒も、仕込まれるのは今日の樽です。ウイスキーの歴史を読むことは、未来の樽に想いを馳せることと同じ——この50本のコラムが、あなたの今夜の一杯を少しだけ深くしたなら幸いです。次の百年に、乾杯。