19世紀後半、ヨーロッパのブドウ畑を害虫フィロキセラ(ブドウネアブラムシ)が襲いました。フランスのブドウ畑は壊滅的な打撃を受け、ワインとブランデーの生産が激減。当時、英国の上流階級が食後酒として愛飲していたコニャックが手に入らなくなり、その代替としてスコッチウイスキー、とりわけ飲みやすいブレンデッドが一気に浸透しました。この追い風に乗って、1890年代のスコットランドでは蒸留所の新設が相次ぐ空前のウイスキーブームが到来します。他国の災厄が転機になったという歴史の皮肉はありますが、この時期に築かれた生産基盤と世界的な販路が、スコッチを「世界の酒」へ押し上げる決定的な一歩となりました。