1920年、アメリカで禁酒法が施行され、酒類の製造・販売が全面的に禁止されました。国内のバーボン蒸留所は「医薬用」の免許を得た少数を除いて操業停止に追い込まれ、アメリカのウイスキー産業は壊滅的な打撃を受けます。一方、この時代に密輸ルートで米国市場に流れ込んだのが、カナダのウイスキーとスコッチでした。カナディアンウイスキーは国境越えの密輸で地位を築き、スコッチも「本物の洋酒」として闇市場で人気を高めます。1933年の禁酒法廃止後、この間に定着した飲酒の嗜好が各国ウイスキーの勢力図を塗り替えました。禁酒法は、酒を禁じることの難しさとともに、ウイスキー史の転換点として語り継がれています。