1983年、ウイスキー不況の中で閉鎖された二つの蒸溜所——アイラ島のポートエレンとハイランドのブローラは、残された樽が熟成を重ねるにつれ「失われた伝説」として神格化されていきました。オークションで一本数十万円、状態の良い長期熟成品は百万円超——飲めないからこそ膨らむ渇望の40年です。そして2017年、所有するディアジオ社が両蒸溜所の再建を発表。ブローラは2021年、ポートエレンは2024年に再稼働を果たしました。廃墟同然だった建物は復元され、当時のスチルの形状が再現され、蒸溜が再開される——「閉鎖蒸溜所は二度と戻らない」という業界の常識が覆った瞬間でした。ローズバンクなど他の伝説も後に続いています。もちろん、新しい蒸溜液が「あの伝説の味」になる保証はありません。それでも、40年の空白を挟んで同じ場所で火が入る物語に、世界の愛好家は乾杯しました。ウイスキーの歴史は、失うだけでなく、取り戻すこともできるのです。
伝説の帰還 — ポートエレンとブローラの復活
1983年に閉じた二つの伝説の蒸溜所が、約40年の沈黙を破って再稼働。ウイスキー史は「復活」という新章に入りました。