2014年秋、英国の著名評論家ジム・マーレイの年鑑『ウイスキーバイブル』2015年版が発表され、世界のメディアが一斉に見出しを打ちました。「世界最高のウイスキーは日本の山崎——そしてスコッチは上位5位に一本もなし」。世界一に選ばれたのは「山崎シングルモルト シェリーカスク2013」。「天才のみが生み出せる厚みと深み」という激賞と、本場スコッチへの辛辣な警告がセットになったこの発表は、ウイスキーに関心のない一般紙までもが報じる事件となりました。直接の影響は市場に現れます。山崎シェリーカスクは即座に完売し、価格は高騰。ジャパニーズ全体への世界的需要が加速し、年数表記品の休売が相次ぐ品薄時代の引き金の一つとなりました。一冊の本の一つの評点が世界の需給を動かした——評論の影響力の頂点を示すと同時に、単一の評価に依存する危うさも語り継がれる、功罪二面の事件です。
世界一の烙印 — 2015年版ウイスキーバイブル事件
著名評論家の年鑑が山崎シェリーカスクを世界一に選び、スコッチを圏外に置いた2015年版は、世界的ニュースとなりました。