世界の酒類業界で、ディアジオに次ぐ巨人がペルノ・リカールです。フランス拠点のこの企業は、シーバスリーガルバランタイングレンリベット——名門スコッチを多数抱える。ウイスキーの二大巨人の一角、ペルノ・リカールのブランド網と特徴を解説します。フランス企業がスコッチの大手、という意外な構図です。

01 フランス企業がスコッチを持つ

ペルノ・リカールは、1970年代にフランスの二つのアニス系リキュール(パスティス)メーカーが合併して生まれた企業です。もともとフランスの酒の会社が、買収を重ねて世界的な酒類グループに成長。今やスコッチウイスキーの大手として、ディアジオと双璧をなす。フランス企業がスコットランドの名門を多数所有する——これは、ウイスキーがグローバルな資本の中で動いていることの象徴。国籍と、その酒の産地は必ずしも一致しない。ウイスキー産業のグローバル化を体現する企業です。

02 ディアジオとの二強構造

ペルノ・リカールとディアジオは、世界のウイスキー市場を二分する二大巨人です。ジョニーウォーカー(ディアジオ)対バランタイン・シーバス(ペルノ)、傘下のシングルモルト群の競争——この二強が、市場の大きな部分を動かしている。両社とも、ブレンデッドを旗艦に、多数のシングルモルト蒸溜所を抱える似た構造。この二強に、日本のサントリーグローバル(次記事)やアメリカ勢が続く。世界のウイスキーの棚は、少数の巨人と、その周縁の独立系・クラフト(専用記事)で構成されている。この構造を知ると、ブランド間の競争や戦略が読めてきます。

03 巨人の地図として

ペルノ・リカールを知ることは、ディアジオと合わせて「二大巨人の地図」を持つことです。バランタイン、シーバス、グレンリベット、ジェムソン——これらが一つの企業の傘下だと知ると、それらの品質の安定や、グループ内でのキーモルトの融通(専用記事のブレンドの仕組み)が理解できる。もちろん、どの巨人の傘下かで味の優劣は決まらない——各ブランドは独自の個性を保っている。しかし、業界の構造を知ることは、ウイスキーを俯瞰する教養。フランス企業が世界のスコッチを支える、というグローバルな現実も含めて、産業の姿を知っておく価値があります。