ようこそ、ウイスキー入門コースへ。このコースは全20回で、前提知識はゼロで構いません。「ウイスキーって結局なに?」という問いから始めて、産地、飲み方、選び方、味わい方へと、一段ずつ階段を上るように進みます。各回の最後には「今夜の一歩」という小さな宿題をひとつだけ置きます。知識は、試した夜にだけ身につくからです。
01 お酒は2つの家系に分かれる
世界のお酒は、大きく2つの家系に分けられます。ひとつは「醸造酒」——果物や穀物を発酵させただけのお酒で、ビール(約5%)、ワイン(約12%)、日本酒(約15%)がこの仲間です。もうひとつが「蒸溜酒」——醸造酒を加熱し、アルコールを含む蒸気を集めて濃縮したお酒で、焼酎、ジン、ウォッカ、そしてウイスキー(約40%)がこの家系に属します。度数が高いのは、蒸溜という「濃縮」を経ているからです。
02 ウイスキーの定義は3つの条件
蒸溜酒の中でウイスキーを名乗るための条件は、世界共通でおおむね3つです。①穀物(大麦・トウモロコシ・ライ麦など)が原料であること。②蒸溜すること。③木の樽で熟成させること。ぶどうから造れば ブランデー、サトウキビならラム、樽熟成をしなければジンやウォッカに近づく——原料と樽、この2つがウイスキーをウイスキーたらしめている境界線です。
03 今夜の一歩の前に
次回は、大麦がどうやって琥珀色の一杯になるのか、製造の5つの工程を旅します。難しい化学は出てきません。「麦のジュースを造って、発酵させて、濃縮して、樽で寝かせる」——たったこれだけの物語です。今夜はまず、家や店で、ウイスキーとビールを見比べることから始めましょう。色、香り、度数。2つの家系の違いは、グラスを並べた瞬間に見えてきます。