酒屋の棚には「シングルモルト」「ブレンデッド」「バーボン」と、呪文のような言葉が並んでいます。でも安心してください。世界中のウイスキーは、原料と造り方で見ると、たった3つの箱に整理できます。今日はこの3つの箱を用意する回です。

01 箱その1 — モルトウイスキー

大麦麦芽(モルト)だけを原料に、銅のポットスチルで造るウイスキー。香りが豊かで個性が強いのが持ち味です。ひとつの蒸溜所のモルトだけを瓶詰めしたものが「シングルモルト」——山崎、余市、グレンフィディックなどがこれです。「シングル」は「単一の蒸溜所」という意味。蒸溜所の個性をそのまま味わう、いわば産地直送の一本です。

02 箱その2 — グレーンウイスキー

トウモロコシなど大麦以外の穀物(グレーン)を主原料に、連続式蒸溜機で造る軽やかなウイスキー。単体で瓶詰めされることは少なく、多くはブレンドの「土台役」に回ります。穏やかで甘く、主張しない——名脇役の箱です。知多のように、この箱から主役に躍り出た銘柄もあります。

03 箱その3 — ブレンデッド

モルトの個性とグレーンの穏やかさを混ぜ合わせた「調和の箱」。角瓶、ジョニーウォーカー、バランタインなど、世界で最も飲まれているのはこの箱です。個性のぶつかり合いを職人(ブレンダー)が調律するため、飲みやすくバランスが良い。初心者向きと侮られがちですが、実は最も高度な技術の産物です。