今回は2か国を一度に巡ります。ひとつはウイスキー発祥の地とされるアイルランド。もうひとつは、まったく別の進化を遂げた新大陸アメリカ。この2つを知ると、第3回で用意した「3つの箱」に、産地という彩りが加わります。

01 アイリッシュ — 3回蒸溜のなめらかさ

アイルランドの伝統は3回蒸溜。蒸溜を重ねるほど酒は軽く、なめらかになります。代表銘柄ジェムソンの、するりと喉を通る飲みやすさはこの製法の賜物です。かつて世界一の生産量を誇りながら20世紀にほぼ壊滅し、近年40超の蒸溜所が生まれる大復興の真っ最中——歴史のドラマも折り紙付きの産地です。

02 バーボン — 内側を焦がした新樽の魔法

アメリカの主役バーボンは、原料の51%以上がトウモロコシで、内側を黒く焦がした「新品の樽」だけを使うのが法律上のルール。甘いバニラとキャラメルの香りは、この焦がし新樽が数年で与える魔法です。ジャックダニエルに代表されるテネシーウイスキーは、樽詰め前に楓の炭でろ過するひと手間を加えた親戚です。

03 5大産地、あとひとつ

スコットランド、日本、アイルランド、アメリカ——ここまでで4つ。残るひとつはカナダ(軽やかなライの伝統)で、以上が「5大ウイスキー」と呼ばれます。さらに近年は台湾やインド、豪州など新世界の躍進が著しい。次回の章クリア回で、世界地図を一枚にまとめます。